膵臓がん

すい臓がんとは

すい臓にがんが発生する疾患で、9割以上はすい管の細胞から発生してできたものです。
すい臓がんにしか見られない症状はほとんどないため、早期発見が極めて難しい疾患だと言われています。
また、進行スピードが早いため、自覚症状が現れた時点ではすでに進行していることが多く、治療が難しいとされています。
また、死亡率が高いという特徴も持っています。初期症状はなく、進行すると部位によって黄疸(おうだん)や疼痛(とうつう)が現れたり、体重が減少したりします。
すい臓がんになった親族がいる方や、糖尿病がうまくコントロールできなくなった方、慢性膵炎や膵のう胞の疑いがある方は、定期的に検査を受けるようにしましょう。

すい臓がんの可能性がある症状

すい臓がんの可能性がある症状元から糖尿病を患っている方の場合ですと、「血糖コントロールが悪くなった」「HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)が9、10以上になった」という症状が見られた場合、すい臓がんの可能性があります。
すい臓は「インスリン」という血糖値を下げるホルモンを分泌する役割と、食べた物を消化するため消化酵素を分泌するという役割を担っています。
すい臓がんを発症するとインスリンの分泌機能が低下するため、血糖コントロールも悪くなってしまいます。そのため、過去2ヶ月ほどの血糖の平均を表すHbA1cが9、10以上になることもあります。
「食生活を変えていない」「体重が増えていない」のにも関わらず、血糖コントロールが悪くなった場合は、すい臓がんを発症している可能性が高いため要注意です。
また、50歳以上になってから糖尿病を発症した方や、1ヶ月で4㎏以上も体重が落ちた方、黄疸(目や肌が黄色くなる状態)が現れた方、腹痛や背部痛が何度も起こっている、痛みが強くなっているなどの症状がある方も、注意しなければなりません。
また、食欲不振にも気を付ける必要があります。がん疾患は進行すると、食欲がなくなってしまう傾向にあります。
上記に挙げた症状は複数重なっているほど、すい臓がんの可能性が高いため、心当たりのある方は病院へ受診することを推奨します。

すい臓がんの危険因子

すい臓がんを発症した親族がいる方、ご家族の中にすい臓がん患者が1人でもいた場合は、そうでない方と比べて、発症リスクが4.5倍もあると判明されています。
また、基礎疾患として糖尿病を抱えている方の場合は、発症リスクが約2倍になることも分かっています。
アルコールや胆石などが原因で発症する慢性膵炎を抱えている方は、14.6倍もすい臓がんになるリスクが高くなります(発症から4年以内)。
また、肥満や大量飲酒、タバコなども、すい臓がんの危険因子になります。心当たりのある方はまず、生活習慣の改善を行うことをお勧めします。

検査方法

超音波内視鏡検査

超音波装置が付いている内視鏡を口から入れ、胃・十二指腸の壁を通してすい臓やその周辺の組織の状態を直接観察します。
体の外側から行う腹部超音波検査よりも、細かく疾患について評価を行うことができます。

超音波内視鏡とは

超音波検査のプローブ(探触子)がついている内視鏡のことを、超音波内視鏡(EUS:Endoscopic ultrasound)と呼びます。
腹部エコー検査などとは異なり、画像化した時に、胃や腸の中の空気や腹壁、脂肪、骨が邪魔にならないというメリットがあります。
観察する病変部位の周辺から、高い周波数の超音波を当てることができるため、より細かく観察することが可能です。
膵がんの診断を下すために行われる方法ですが、胆のうや胆管疾患(胆のうポリープ、胆のう結石、胆管結石など)、消化管粘膜下腫瘍(食道、胃、十二指腸)にも効果的な検査です。

超音波内視鏡の検査方法

通常の内視鏡検査と同じように行われます。内視鏡を病変部位の近くまで入れた後、内視鏡先端に付けたバルーンの中に、一時的に水を溜めてから超音波で観察していきます。
精密検査のため、検査時間は通常の内視鏡よりも少し長めに確保しています(10分程)。また、通常の内視鏡よりも先端がやや太くて硬いため、鎮静剤を処方してから検査を始めます。

治療

治療早期発見できた場合は、手術で切除を行います。
しかし、すい臓がん患者の7~8割が、手術できない状態でがんが見つかるため、その場合は放射線や抗がん剤などの化学療法を選択します。
近年では、多くの抗がん剤が登場していて、様々な薬剤の組み合わせができるようになりました。 今までは切除できなかった膵がんでも、化学療法でがんを小さくさせてから手術できるようになったというケースもあります。
その他にも、高圧の電流を流すことでがん細胞を殺す「不可逆電気穿孔法」や、超音波の熱でがん細胞を焼く「強力集束超音波焼却療法(HIFU)」など、新しい治療方法がどんどん出ています。

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