下痢の症状について
下痢は、日々の生活の中でもよく見られる症状です。脱水に注意しながら安静にし、経過を見ていれば治るという場合も多くあります。しかし何日も下痢が続くという場合には、医療機関への受診が必要になる場合もあります。
受診の目安は、下痢以外の症状があるかどうかです。
下痢以外の症状が見られないという場合や、下痢と便秘を交互に繰り返しているという場合には、しばらく様子を見ても問題ありません。しかし、下痢以外にも症状が出ている場合は、早めに受診するようにしましょう。
受診をした方がよい下痢の症状
- 発熱や嘔吐を伴う下痢
- 激しい腹痛を伴う下痢
- 便に血や粘液が混じっている
- 同じ食事を摂った人にも下痢や嘔吐の症状が見られる
下痢とは
下痢は、「1日の糞便中の水分量が200ml以上(または、1日の糞便の重量が200g以上)」と定義されています。
腸の働きが正常な場合、食事などで摂取した食べ物は10時間ほどでS状結腸に到達し、消化された食べ物から水分が吸収され、適度な固さの便がつくられます。
しかし、何らかの原因により水分を吸収する働きがうまくいかなくなると、水分を多く含んだままの便が排出されます。これが、下痢が起こる仕組みです。
下痢の原因
下痢になる原因は下痢の種類によっていろいろなものがありますが、主に以下の4つに分類することができます。
- 浸透圧性下痢
- 分泌性下痢
- ぜん動運動性下痢
- 滲出性下痢
浸透圧性下痢
水分を引き付ける力である浸透圧が高い食べ物を食べたことによって、腸で水分がきちんと吸収できず下痢になるタイプです。人工甘味料の摂り過ぎ、糖分の消化不良、牛乳の摂りすぎなどが原因となります。
分泌性下痢
腸管内での分泌液が増えることによって起こります。
腸に入った細菌による毒素やホルモンの影響など、さまざまな原因が考えられます。感染性胃腸炎や生理中の下痢などがこれにあたります。
ぜん動運動性下痢
便が腸を通過する時間が短いことで起こる下痢です。過敏性腸症候群やバセドウ病などの甲状腺の病気の場合に起こりやすい下痢です。
滲出性下痢
腸に炎症が起こったことによって、血液成分や細胞内の液体などが滲み出たり、腸の水分吸収能力が低下したりすることで引き起こされる下痢です。このタイプの下痢は、クローン病や潰瘍性大腸炎などで見られます。
その他にも、慢性膵炎や糖尿病の合併症、薬の副作用などで起こる下痢もあると考えられています。
下痢が関連する消化器疾患
下痢が関連する消化器疾患は、過敏性腸症候群や、ウイルス感染による腸炎などが考えられます。
大腸がんの症状にも下痢の症状はありますが、便秘と下痢を繰り返すことが多く、下痢だけが起こることは少ないです。がんが進行すると、狭窄により腸の内部が狭くなって下痢が起こると考えられており、下痢が長引く場合には、大腸がんである可能性もあります。
反対に、下痢によって大腸がんが引き起こされるかどうかについては不明とされています。
下痢の検査・治療方法
下痢を主訴として医療機関を受診した場合、大腸カメラとレントゲンを行うことがあります。これらの検査を行うことで腸の状態や、形状などを観察し、下痢を誘発する病気になっていないかどうかのチェックを受けることができます。
これらの検査をして、大腸に病気などの問題があった場合にはその病気に対する治療を行います。特に病気が発見されなかった場合には、お薬を服用していただき、経過を観察します。
薬物療法では、腸のぜん動運動を抑える薬、腸への刺激を抑える薬、便の中の水分を吸い取って便を固める薬、ビフィズス菌等の整腸薬などを症状や下痢の原因となる疾患にあわせて使用します。
ただし、ウイルス感染などによって引き起こされている下痢の場合は、ウイルスを早期に体外へ排出できるように、下痢止めのお薬をあえて使用しないということもあります。また、嘔吐を伴う下痢症状で水分が取れていないという場合には、脱水を予防する目的で点滴による補液(体の中の水分を維持すること)を行うこともあります。
下痢がつらいときは
下痢がつらいときは以下の2点に配慮して過ごしましょう。
- 食べ物に気を遣う
- アルコールを控える
食べ物に気を遣う
下痢の症状がつらいときには、できるだけ食物繊維や脂肪の少ない食品を選び、柔らかく調理をして食べましょう。食材を擦りおろしたり、細かく刻んだりして小さくするとより消化がよくなります。
食物繊維 | 脂肪 | |
---|---|---|
少ない食品 (消化によい) |
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多い食品 (消化に悪い) |
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激しい下痢の時は、薄いみそ汁や野菜スープ、スポーツ飲料などで、まずは水分と電解質を補給するようにしましょう。
一度に大量に飲むと負担がかかるので、少量ずつ摂取するようにします。
回復してきたら、卵がゆ、煮込みうどん、やわらかく煮た野菜類などを、様子を見て少しずつ食べるようにしましょう。生で食べるものは基本的に避けた方がよいですが、バナナやりんごは下痢のときにも食べられます。
脂肪分の多い食品、食物繊維が多い食品のほか、以下のような食品も下痢のときには避けた方がよいでしょう。
- 香辛料を多く含む食品
- 糖分の多い食品
- 塩分の多い食品
- 酸味の強い食品
アルコールを控える
アルコールは下痢を引き起こしやすくするため、下痢症状があるときには飲酒を控えましょう。アルコールを摂取すると腸の吸収能力が低下するため、水分や電解質の排出量が増えます。
さらに、糖や脂肪の分解・吸収能力の低下も下痢を引き起こす原因になります。
また、お酒を大量に飲むことにより腸内が水分過多の状態になるのも下痢の一因です。過剰な水分によって腸の運動のバランスが崩れると、便が早く進みすぎてしまいます。
便の中の水分を十分に吸収する前に排出してしまうため、下痢の状態になります。
つらければ医療機関の診察を
下痢が辛いという場合には、我慢せずに消化器内科を受診しましょう。下痢が続くことによって体内の水分バランスが崩れ、脱水を引き起こす危険性があります。
また、いつ下痢便を催すのか不安で電車に乗れない、外出できないということも起こり、日常生活へ支障をきたす恐れもあります。
1週間以上下痢が続くという場合はもちろん、下痢によって日常生活に支障をきたしている場合も、早めに医療機関を受診してください。
当院で下痢の診察が可能です
湘南いしぐろクリニックでは消化器の専門クリニックとして下痢の診察に親身に対応しております。
下痢は深刻になったり、コントロールできないようになると社会生活に大きな支障をもたらす症状です。些細な症状やなかなか人に言い出せない下痢症状でも全く問題ございませんので、下痢の治療・診察を希望される方はいつでも当院へお越しください。
患者様のご希望にあわせて内視鏡検査まで対応視野に入れた診察を行います。
皆様のご来院おまちしております。