便秘

便秘の症状について

便秘の症状について

便秘という症状は、多くの人が1度は経験したことのある症状ではないでしょうか。たいていの場合は様子を見ているうちに自然に改善することが少なくありません。

しかし、中には治療が必要な便秘もあります。 以下のような症状がある場合には、早めに医療機関を受診してください。

  • 激しい腹痛
  • 吐き気や嘔吐
  • 発熱
  • 便に血が混じる
  • 足の付け根、おへそなどが盛り上がっている

上記の症状以外にも、便秘やお腹の張りが繰り返されたり、日常生活に支障をきたしたりしている場合には、医療機関を受診するようにしましょう。

便秘の症状があると、市販の下剤に頼ることもあるでしょう。一時的な使用で便秘が改善されるのであればよいですが、繰り返し飲み続けている場合は症状を悪化させてしまうこともあるので、医療機関で相談することをおすすめします。

便秘とは

便秘とは、「本来体外へ排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」と定義されています。「何日間出ないから便秘」や「どのくらいの量が出ないから便秘」というような明確な定めはありません。

令和元年の国民生活基礎調査によれば、日本人で便秘に悩まされている方の割合は男性25.4%、女性43.7%です。全体では圧倒的に女性が多いですが、65歳以降は男女ともに増加しており、男性で64.1%、女性で72.3%の方が便秘に悩まされています。

(出典:2019年 国民生活基礎調査の概況)

便秘の原因

便秘の原因は便秘の種類によって細かく異なりますが、大きくは以下の3つに分けられます。

機能性便秘

最も多いのが、「機能性便秘」です。機能性便秘は、大腸や直腸の働きに異常が生じるタイプの便秘です。
生活習慣やストレス、加齢などが原因として考えられています。

機能性便秘はさらに3つのタイプに分けられます。

弛緩性便秘 大腸を動かす筋肉がゆるみ、腸の内容物を肛門まで運んでいく蠕動運動が弱くなることで便が停滞し便秘となります。生活習慣の乱れや加齢が関係します。
痙攣性便秘 大腸の蠕動運動が起こったり起こらなくなったりして生じる便秘です。ストレスが関係していると考えられています。
直腸性便秘 便意を習慣的に我慢することで、直腸の神経の働きが弱くなり、便意を感じにくくなってなる便秘です。女性や温水洗浄便座の水を肛門の奥まで入れてしまう人に当てはまります。

器質性便秘

大腸の中を便がスムーズに通過できなくなることで起こる便秘で、大腸がんや手術後の癒着、潰瘍性大腸炎やクローン病といった炎症性の腸の病気の方に起こりやすい便秘です。

薬剤性便秘

喘息や頻尿、パーキンソン病の治療で使われる抗うつ薬、抗コリン薬や咳止めには腸の動きを鈍くする副作用があり、これによって便秘となる可能性があります。

便秘改善・予防のためのポイント

便秘改善・予防のためのポイント便秘の原因は、すでに説明した通り、ほとんどが大腸内のトラブルによるものです。
また、生活習慣の乱れやストレスが影響している場合も少なくありません。

便秘を改善・予防したいのであれば、まずは生活習慣の見直しを行い、ストレスを溜めず規則正しい生活を送ることを心がけましょう。

中でも、「食事」と「運動」の2点は特に重要です。

食べ物を意識する

便秘を改善・予防するために、まずは食生活を見直しましょう。バランスの良い食事を摂ることが基本ですが、「食物繊維」「水分」「乳酸菌」を取り入れることで、より効率的に腸の働きを整えることができます。

食物繊維

食物繊維には水溶性と不溶性の二種類があります。それぞれ腸に良い働きを持っています。

  水溶性食物繊維 不溶性食物繊維
特徴
  • 水に溶ける
  • 便を柔らかくする働き
  • 善玉菌のエサになる
  • 水に溶けづらい
  • 腸を刺激し、排便量を増加させる
  • 便が硬い人が摂りすぎると便秘が悪化する恐れがある
多く含む食品
  • 穀物
  • 豆類
  • きのこ
  • 芋類
  • 野菜
  • 果物

など

  • 海藻
  • こんにゃく
  • 大麦
  • 豆類
  • 根菜類

など

いずれの食物繊維も、摂りすぎると逆効果になりますので、自分に合った適量を食事に取り入れるように心がけましょう。

水分

便を柔らかくするためには、水分は必要不可欠です。水分摂取量が少ないと、便が硬くなり、排便が滞ってしまいます。便を柔らかくするには、一日あたり1.5~2リットルの水分を摂ることを心がけましょう。

また、朝起きた時に水を飲むのも便秘改善や予防に効果的です。寝ている間に失われた水分の補給ができるうえに、腸へほどよい刺激を与えることもできます。

乳酸菌

大腸の中には悪玉菌、善玉菌と呼ばれる腸内細菌が存在しています。大腸の環境を整えるためには、悪玉菌の増殖を抑制して善玉菌を増やすことが大切です。

善玉菌の中で代表的なのは、ヨーグルトや発酵食品などに多く含まれる乳酸菌です。乳酸菌には数多く種類があり、一種類の乳酸菌だけを増やすよりも、複数の乳酸菌を増やす方が大腸の環境にはいいといわれています。
なので、納豆やチーズ、味噌など、さまざまな食品から乳酸菌を摂取するのがおすすめです。

また、食物繊維やオリゴ糖など善玉菌のエサとなる栄養素を一緒に摂取することで、より腸内環境が整いやすくなります。

定期的な排便を促すには、食事の内容だけでなく、食事のリズムを整えることも重要です。食事の時間がばらばらだったり、不規則な食生活を送ったりしていると、体のリズムが乱れて腸の動きも悪くなってしまいます。

特に、朝食後は、便意が起こりやすい時間帯のひとつ。寝ている間に休んでいた胃に食べ物が入ると、それが刺激となって腸が活発に動き出すためです。反対に朝食を抜いてしまうと、腸が動かずに便意が起こらなくなってしまいます。

便秘の改善・予防のためには、朝食を摂る習慣をつけましょう。

マッサージや運動で刺激を与える

マッサージや運動で刺激を与える筋力や体力が落ちることで発生する「弛緩性便秘」。
このタイプの便秘の方は、日常的に運動不足になっていることが多くあります。そのため、日常的に運動を取り入れるだけでも便秘が改善する可能性があります。

最も便秘に関連のある筋肉は、腹筋です。腹筋が衰えると、便を押し出す力や腸の蠕動運動が弱まってしまいます。そのため、腹筋を衰えさせないことが便秘予防には重要なのです。

また腹筋運動は腹部の血行を良くしてくれます。腹部の血行が促進されることにより、胃腸の働きや自律神経にも良い影響を与え、結果的に排便の促進につながります。

ジムなどで行うような特別な筋肉トレーニングは必要ありませんが、日常生活に取り入れられる軽い運動で腹筋を適度に鍛えましょう。

運動だけでなく、腹部のマッサージも便秘の改善や予防に効果があるとされています。腸を刺激することによって、排便を促すことが効果が期待できます。

マッサージをするときは仰向けになって行いましょう。おへその周りをゆっくりと時計回りにマッサージしてください。
回数は30回くらいが適当です。リラックスしている状態で行うとより効果的なので、寝る前の時間や、入浴後などがおすすめです。

便秘が関連する消化器疾患

便秘が関連する消化器疾患

便秘の関連する消化器疾患は、さまざまなものがあります。

  • 大腸がん
  • 潰瘍性大腸炎
  • クローン病
  • 慢性便秘症
  • 過敏性腸症候群
  • イレウス(腸閉塞) など。

中でも特に注意しておきたいのが大腸がんです。

大腸がんはがんが発生した部位や、経過によって便秘の症状が出ないこともありますが、下行結腸、S状結腸にがんができた場合は、比較的早い段階で便秘の症状が見られます。
そのため、便秘の症状が出た時点で検査を受けることができれば、大腸がんの早期発見にもつながります。

また、便秘は大腸がんのリスクを高めるという報告もあります。1988年から20年間以上かけて行われた、全国を対象とした大規模コホート研究(JACC Study)の中で、「排便頻度と結腸直腸がん」との関連についての研究が行われました。

その結果、女性の場合、6日以上の便秘症状がある人は、2~3日おきに便が出るという人と比べて、大腸がん、結腸がんのリスクが2.5倍高くなることがわかりました。
同様に、男性の場合は、大腸がんは1.2倍、結腸がんは1.9倍、そのリスクが高くなることがわかりました(名古屋市立大学 小島雅代をはじめとする研究グループ)。

便秘に悩まれている方は、大腸がんのリスクを考慮しておくことが重要です。また、便秘の放置は大腸がんの大きなリスクであるということもご理解いただきたいです。


便秘の検査

便秘の検査

便秘の症状で医療機関を受診した場合、大腸カメラ検査(大腸内視鏡検査)とレントゲン検査を行うことがあります。腸の状態や、形状などを観察し、病気になっていないかどうかをチェックするためです。

検査の結果、大腸に病気などの問題があった場合には、その病気に対する治療を行います。
また、「症候性便秘」の方は、その病気に対しての治療を行わなければ改善することが難しいため、適切な治療を行っていく必要があります。


便秘の治療方法

便秘に対する治療は、多くの場合、薬物療法を行います。
例えば、緩下剤で腸内の水分量を多くしたり、浸潤性下剤で便の水分量を増やしたりして便を出しやすくします。場合によっては、刺激性下剤により腸の動きを刺激して、便を出しやすくすることもあります。
ほかにも漢方薬や浣腸を使用することがあります。どの薬剤を使用するかは便秘の状況や腸の状態などを見て、医師が総合的に判断をしていきます。

便秘がつらいときは

便秘がつらいときは便秘による症状が辛いという場合や、1週間以上たっても便が出ないという場合には、我慢せずに消化器内科を受診しましょう。

便秘を放置したことによって溜まった便が腸管を穿孔させたり潰瘍を起こしたりすることもあります。また、痔になったり、便が直腸内に溜まって固まる(糞便塞栓症)になったりする可能性もあります。

これらの合併症を引き起こさないためにも、早い段階で医療機関を受診されることをおすすめします。

当院で便秘の治療が可能です

当院で便秘の治療が可能です湘南いしぐろクリニックでは消化器内科クリニックとして便秘の治療に対応しております。
慢性的な便秘に長い間悩まれている方や急性的な便秘で不安を感じられている方は、ぜひ一度ご相談・ご来院ください。ささいな便秘症状のお悩みも相談に乗ります。

当院は、外来対応から大腸カメラ検査などを使用した検査まで、幅広い対応が可能です。
皆様の便秘症状ととことん向き合える診察を行っていきます。

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